I



校舎が、たまたま同じだったんだ。

中高一貫、と言う学校で、私は悠に会えた。


すぐに、親に内緒で私達は付き合い始めた。



だけど、それはすぐに先生を通じて親の耳に伝わった。


孤児院育ちの二人が付き合うなんて、と悠の里親は激怒した。


結果、私が他の中学に転校することになった。



もう、諦め切れなかった。



だから、私と悠は夜な夜な家を抜け出して会っていた。



『志津!お前には呆れた!誰のせいで、仕事まで辞めてこんな田舎に来てると思ってんだ!』


いきなり、だった。


ストレスが溜まった親の、虐待。



傷だらけの顔を、悠に見せるわけにはいかない。
私は、その日から悠には会わなかった。




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