I
「これ、落としましたよ」
その人は、秀麗な顔を緩ませて、手に持っている私のハンカチを差し出した。
「あぁ、ありがとうございます・・・」
そのハンカチを受け取ろうとする。
手を伸ばした時、私はその人に腕ごと掴まれた。
どくり、と心臓が高鳴った。
「お嬢さん、あそこの学校の子?」
透き通る白い肌、優しい目、薄い唇、細い顎。
近くで見る、その人の美しさに、私は息を呑んだ。
「・・・はい、・・・・・・」
「そっか。だから可愛いんだね・・・・・」
私より頭一つ分大きいその人を、見上げた。
「え?」
その人は笑った。
どくり、と心臓が嫌な音をたてはじめる。