片想い~Love song for you~
あたしは携帯の着信画面を見て
しまった、と思った。
秋に「先帰るから!」くらいは
言えばよかった…
ため息をつきながら、
電話に出た。
「もしもし。」
『お前、いい度胸だな。この俺を置いて帰るだなんて。』
秋はどうやら怒っているらしい。これは非常に面倒臭いぞ。
あたしは路上ライブの事で
頭いっぱいだったから
秋のことを忘れてた…
「ごめんって、そんな怒らないで。あっ!あのね?下駄箱で待ってようと思って、先に行ってたの。」
『あぁ??とにかく俺も今から
そこに行くから待ってろよ!』
「ちょっと!待っ―……プッツーツー
秋の奴、途中で切りやがった。
あ、そっか!
秋は1人で帰れない
可哀想な子なんだ。
よし。
しょうがないから
一緒に帰ってやるか……
あたしは
履きかけたローファーを履いて、昇降口で秋を待つことにした。