片想い~Love song for you~
「あたしさ、中2の時に秋のお兄ちゃんからギターもらったよね。」
『あー、あれか。兄貴が新しいギター買うからって、使ってたギターもらったんだっけ?』
『そうなの。あたしね、その時にもらったアコギは今でも宝物なんだ。』
『えっ?!お前、あのギター使ってんの??結構、古かった気がしたけど。』
「ううん。秋のお兄ちゃんはちゃんと手入れしてて、見た目は古かったけど気にならなかったよ。」
『そうだったんだ。』
『秋のお兄ちゃんがギターをくれる時、あたしにこう言ったの。
“弥生ならこのギター大切にしてくれるだろ”って。
あたし、歌が好きだから
ギター弾きながら歌う秋のお兄ちゃんがすごい羨ましかった。
だから、ギターもらった時、人生で一番嬉しかった。』
「確かに兄貴は、このギターを使わなくなったら絶対弥生にやるんだって言ってたな。」
『そうだったんだ…
あたしはギターもらってから
見よう見まねで弾いたり、歌ったりした。
そして、自分の気持ちを音にした。嫌なことがあったり、嬉しかったり、色んな事を音にして歌ったの。』
秋はこんなあたしの話を
真剣に聞いてくれた。