片想い~Love song for you~
『だから今日は、駅の広場で歌おうと思ってたんだ。』
「えっ?!でも、弥生の母さんは許してくれたのか。」
『うん。お母さんにはOKしてもらってる。頑張ってねって。』
「よかったな。」
秋は何か考えているようで、
難しい顔をしていた。
『まぁ、そういう事だから
今日は早く帰りたかったの。』
「あのさ。」
秋は少し、低い声で問い掛ける。
『な、何?どうしたの?』
あたしはいつもと違う秋に
ちょっと戸惑ってしまった。
「俺も見に行っていい??」
秋はちょっと俯いて、頬を少し赤くしながら頼んできた。
あたしはかわいいなと思いながら秋を見た。
「何だよ。ニヤニヤしてんじゃねーよ。
弥生が変な奴に絡まれたりしたら面倒臭いからな。」
秋は一生懸命、言い訳をする。
『ふふっ。ありがとう。
じゃあ7時に桜並木駅の時計台で待ってるね。』
「はー。しょうがないな。じゃあまた後で。」
『はいはい。じゃーねー。』
話をしている内に、自分達の家の近くまで来ていた。
あたし達はみんな同じマンションで、帰る所が同じなのだ。
エレベーターで別れて、
あたしと秋は路上ライブで会う事を約束した。