白緑蝶"vacances【続2】
「いつもは、いい意味で庶民的
 で気取らなくて、健康的で
 かわいらしいって感じだけど

 今夜は、どこかの財閥の令嬢
 みたいに上品で、才女で
 おとなしそうな感じだね」

そう話す崇さんの声の後に続く
のは、テオさんの声。

「だけど、その服の向こうを
 覗いてみたい的な感じは
 するねぇ

 そそられる」

「そうそう、一夜を過ごして
 みたい的なって、おいっ
 
 テオ、おまえ

 どこ行ってたの?
 
 あれっ、マスミは一緒じゃ
 ないのか?」

崇さんの言葉に答えるテオさん

「ちょっと、入口で知り合いに
 捕まって近況を聞かれて話し
 込んじゃって、ごめん

 ところで、マスミならみんな
 の所に戻るって言ってたけど

 あっ、いたいた、あそこ」

テオさんが指差した方向に真澄
の姿がある。

「何してんだあいつ

 マスミ、こっちこっち」

航さんの声に、真澄はやっと
気がついた。

見つめる私の視線は真澄から
逸れ、遠く、遠く・・・
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