白緑蝶"vacances【続2】
「テオったら彼女を抱きしめて
 Please don't cryですって

 幾ら彼の前で泣いても私には
 一度も言ってくれた事なんて
 ない・・・」

タマラは瞳から零れ落ちる涙を
手で拭う。
 
「どこで女に優しくする方法を
 覚えたのかしら?

 まさか、Sky、あなた?」

「知るかよ」

「ねえ、いいの?
 
 こんなところにいて奥さん
 テオに寝取られるわよ」

空の隣に腰掛ける、タマラ。

「取られるも何も
 
 選ぶのは、ひわだ・・・」

「選ばれる自信あるの?」

「ないねぇ

 限りなく、ゼロに近い」

そう言って、片方の眉だけを
上げてみせた。
< 155 / 471 >

この作品をシェア

pagetop