白緑蝶"vacances【続2】
「うん
 
 起きてすぐ帰って来たから
 ・・・」

そう、ホテルで二人が目覚めた
時刻は遅くて、私達は寄り道も
せず真っ直ぐここへ帰って来た

「こっちは俺に任せて、二人で
 ゆっくりしてくればよかった
 のに」

その時、プールを出たゆらが
走って私達の方へと駆けて来る
姿が私の瞳に映る。

「ユラちゃん」

ゆらの後を追い、呼び止める
百枝の声にも、ゆらは立ち止ま
ることはない。

急いで、私とソラの元へ来る。

「ママぁ、おかえり」

「ただいま、ゆら」

両手を広げた私は待ってる。

愛しい我が子が、この腕の中
私の胸に飛び込んで来る時を
いつものように待ってる。

それなのに今日のゆらは、私の
少し手前で立ち止まりじーっと
私を見てる。

「ゆら、おいで」

ゆらは首を傾げて、困った顔を
しながら私に問う。

「いいの?」

あっ、そっか、ドレス・・・
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