白緑蝶"vacances【続2】
息を吐くように小さな声で
好きだ、そう貴方は言った。

その言葉に胸が詰まり、言葉の
出ない百枝の瞳から涙が溢れた

真澄は、百枝を抱きしめる。

そんな二人を見て青年は、もう
何も言わずその場を立ち去る。

その悲し気な背中に、百枝は
叫んだ。

「待って

 ごめんなさいね

 あなたのお母様の代わりには
 なれなくて・・・」

青年は、にっこりと微笑んで
大きく手を振り、帰って行った
らしい。

そう

ここまで話を聞く限りでは二人
の仲はうまくいったように思え
るのに、どうして?

「その後、ちょっとな・・・」

そう言って肝心なところで真澄
は口を閉じてしまった。

「その後、何があったの?」

「悪い、この後は俺からは
 言えない
 
 ただ、俺の行動がモモちゃん
 を深く傷つけたんだ・・・」
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