白緑蝶"vacances【続2】
「まあね」

「ねえ、そんなことよりも
 どうしたの?

 ゆらのお迎えは?」

「ああ、行ったよ」

天使の涙の葉に、そっと触れる
長い指先。

「じゃあ、ゆらは?」

「攫われちゃった」

「誰に?

 ねえ?」

詰め寄る私に、ソラは言う。

「天使か

 悪魔か?」

悪魔は、私の目の前にいて
微笑を浮かべてる。

それなら、天使。

「まさか、テオさん?」

頷く、ソラ。

「うそっ、どうして?」

「ソロ活動がうまくいったこと
 の感謝の意味を込めて遥ばる
 日本に来たように言ってたが
 それだけじゃない」

「それだけじゃないって

 何?」


カランカラン

「いらっ」

「いらっしゃいませ」

私の声に被る、ソラの大きな声

ソラは、上着を脱ぎ出す。

「ソ(ラ)、何してるの?」

「見りゃわかるだろう、店番」

「え~、うそ」

大きな声を出す、私の唇をソラ
の大きな手が塞ぐ。

びっくりして、こっちを見てる
お客様。離れたソラの手。
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