白緑蝶"vacances【続2】
「彼のこと?

 俺とどうこうなったら
 彼に申し訳ない?」

私は、首を左右に振った。

「そういう気持ちはずっと以前
 にどっか行っちゃいました

 彼にとっては残酷なこと、私
 言ってますよね

 だけど、彼を亡くしてから
 一人で歩いてきた時間が
 あまりにも大きくて、一人で
 も平気になって・・・

 そして、恋をすることも平気
 になった・・・」

瀬名さんの優しい声に、私は何
でも思ったことを素直に話す事
ができた。

「そんな君を見て、彼は
 悲しんでると想うの?」

「きっと、何だよって
 思ってると想う」

貴方は私の頭を優しく、撫でて
くれた。

「そんなことないと思うよ
 愛した人のことそんな風
 に思ったりしないさ

 俺なら、君がそんな風に
 思ったら、君の前から
 いなくなった自分を
 きっと責めると思う」
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