東京空虚ラバーズ
愛想ラバーズ



高校生活最後の春だった。

桜の花は、例年通りに咲かなかった。

濁った灰色の空が僕らの進級をあざ笑うように渦巻いて、乾いた風を運んできた。


もうここに春はこない。


春だけじゃない、夏も、秋も、冬も、この地からいつの間にか消えていた。

どんな季節も生ぬるい不快な風が町を駆け抜け、僕らの心を空虚にした。


夢も、希望も、正義さえも、この町には存在しなかったんだ。















      東 京
      空 虚
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