東京空虚ラバーズ
「君、いったい何をしたのさ」
朝から授業をサボって屋上でまったりしていた僕を見つけ、開口一番アキラは問いかけた。
「何のこと」
昨日と同じく寝そべったまま彼女の方を向きもせずに聞き返せば、可笑しそうなアキラの声が返ってきた。
「噂がたってるよ。紙袋くんは正義の味方なんかじゃない、悪の手先だって」
にゅ、と空を隠すようにして視界いっぱいにアキラの顔が割り込んできて、思わず眉を寄せる。
「何したの、千景くん」
アキラが問う。
そんなアキラの顔に手のひらを当てて僕の上から退かせて、なんてことないように答えた。
「カツアゲされてた高校生を助けなかっただけ」
言うと、アキラはくすくすと笑った。