東京空虚ラバーズ
「君と居ると本当に退屈しないなあ」
くすくす。
愉しげに笑う。
「そりゃどうも」
決して褒めているわけではないであろう言葉を無理矢理肯定的に受け取って返事をする。
ひとしきり笑ったあと、治まりきらない笑顔のままアキラが訊いた。
「君の"正義"とやらに反したの? カツアゲされてた彼を助けるという選択は」
「……まあ、そういうことになるかな」
僕の言葉に無意味にも見える頷きを何度か繰り返してから、アキラは小さく「そっか」と言って立ち上がった。
「じゃ、行こう」
寝そべったままの僕に手を差し出してアキラは言う。
「どこに」
問えば、にっこり笑ったアキラと目が合った。
「ボクらの"正義"を探しに、さ」