天空のアルカディア
エトルリア北部の森


エトルリアは広大な自然を有するが故に、森に集落があるのが普通だ(もちろん大きな街や首都はそんな事はないのだが)




国民の半数以上が森に住んでいる



しかし、北部の森(ライエ)には集落などない



(魔物)がはびこり、危険だからだ


(神)が創造したのではない


(アルカディア)喪失の理由、(魔族)が創造したのだ


争いを知らなかったヒトは(アルカディア)で平和に暮らしていた




だがある時、魔族が現れ、ヒトを誘惑した



(神族)が(魔族)を世界から払ったのだが、ヒト達は自分の欲望を満たす為、争い始めた

力はあれど、少数しかいない神族はヒトを抑えきれなかった

そうして理想郷(アルカディア)は終わった


(魔族)により生まれた(魔物)は今なお存在している



そんな危険な森を進む1人の青年がいた


肩より長い金髪、金色の瞳、端正な顔立ち、体格は細身だが、病的程ではない



黒いマントを羽織って森を進む


不意に歩みが止まった


「来たか…」


呟き、途端に風切り音と共に降ってくるそれは



体長5メートルはあるだろう龍だった


赤い鱗に包まれた蛇のように長い体、ヒトの肘から先ほどに長く、鋭利な爪と牙


青年は不敵に笑う



「久しぶりに手応えのある獲物だ」


マントから一振りの剣を抜き、構える



瞬間


青年の姿が消え、龍の喉が一閃した
< 3 / 23 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop