天空のアルカディア

王宮のある寝室のベッドに座り、目を閉じて考え込んでいる少女がいた


紅く、腰ほどまで長く髪と燃えるような紅い瞳

可愛いというよりは綺麗という部類入る整った顔



名をマリア・キャルロット


第一王女である彼女はまだ１６になったばかり



（お父様はもう長くない…アリスはまだ１４、子供だ。なら…）



声には出さず、黙々と思想するマリア


微かに陽光に照らされるその姿は神聖な画のようだ



（私が………私がやるしかない。不安だけれど、怖いけれど…私がこの国を…）



少女は決意を固めた



まだ１６の少女、その小さな肩に国民という大切で重いものがかかっている




怖くない訳がない
平気な訳がない



瞳をそっと開け、静かな、それでいて確かな足取りで部屋を出て行く






ハンスと将軍達が話し合いをしている部屋の扉が突然開いた


「誰じゃ！誰も入れるなと…」


ハンスの怒号がなり響くが途中で途切れた



現れたのがハンス達の話し合いにもっとも関係する少女マリアだったから



「ごめんなさいハンス、ノックを忘れていました」


顔を赤くしながら反省する姿はやはり少女



「ハンス、大切なお話があるのです」



「はい、どのような事でしょうか？」



深く呼吸し、マリアは凛とした言葉を告げる



「私が…私が王となり、皆を導いていきます」



そして歯車は回りはじめた