天空のアルカディア
「おい、聞いたか?」


「ああ、赤龍を1人で…だろ?化け物だよヤツは」


アーサー王崩御から数日後の(ハンターズギルド)エトルリア支部にて


魔物はヒトに危害を加える


だから、討伐する(ハンター)が存在し、彼らはギルド(集会所)で依頼を受け、討伐し、報酬を得る


ギルド内は赤龍を討伐した者の話で持ちきりだった


尊敬や対抗心などの感情からではない


皮肉と畏怖からだ


赤龍を討伐した金色の長髪をした青年、ライはそんな事はいつもだから気にしていなかった


(だが、わざわざ本人が居る時にするのもな…)


苦笑しながらライは受付で依頼を受注していた


ちなみに赤龍は討伐ランクはA、熟練のハンター5人でなんとかなるレベル


依頼書を預かり、ギルドを出て目を通す


目標のランクはC、熟練者なら1人でいけるレベル


(高ランクの魔物がそうそういるわけないのだ)


また小物かと1人愚痴り、馬に跨った


場所はウォール神殿、戴冠式に使われるエトルリア最大級の神殿





アーサー王が崩御し、王位はマリアが継ぐ事となった


ハンス及び元老院はそれしかないと思いつつも、本人に気がなければ王は王たる存在になりえない


マリアが悩んでいるのが一番の懸念だったが、数日前の彼女の言葉と決意で解決した


マリアは今、数百の近衛騎士団と共に馬車でウォール神殿に向かっていた


戴冠式は5日後だが、すでに彼女は緊張していた


即位するだけでも緊張するだろうが、マリアはエトルリア始まって以来の女王なのだ


元々の心配気質もあって〔ちゃんと出来るだろうか、王として振る舞えるだろうか〕


とこればかり反芻している


不安と緊張で張り裂けんばかりのマリア





彼女の行き先には魔物の影が潜んでいるとは一行の誰も知るはずもなかった
< 6 / 23 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop