年下のあいつ。
ブロックをよせつけない大きな弧を
描いたボールはそのまま
シュパンッときれいな音を立てて
吸い込まれた。
「うそ…」
一瞬時が止まったかのように思えた。
これまで色んな選手の
色んなプレーを見てきたが
こんなに見入るプレーは初めてだった。
団体競技だけど山下君ばかりを
追ってしまう。
まるで個人競技だ。
ブレのないドリブル。
息のきれないラン。
どこまでも伸びるジャンプ。
そして神がかったシュート。
全てが新しく新鮮で力強い。