リクエストを基にした・【Kiss】シリーズ 『甘々』・8
呆れて脱力している彼の腕を引っ張りながら、わたしは売り場に入った。

呆れた彼の表情を見るのは、ここ最近ずっとだ。

…何だか恋人になる前の方が、笑顔を見ていた気がする。

彼は変わることを望んではいないと言っていたけれど、まさか全く変わらないとは思っていなかったんだろうな。

相変わらずわたしは冷めていて、彼に夢中ってことはない。

好きなんだけど…何だかなあ。

普通、恋人ができた女の子は、もうちょっとはしゃいだり、可愛くなったりするもんじゃなかったっけ?

と思ってしまうほど、変わらない。

そのうち、彼の方から元サヤに戻ろう、と言い出すだろう。

そしたらわたしはきっと、冷静に受け入れるだろう。

だってそういうのが、わたし、なのだから…。

変わりようがないのだ。
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