リクエストを基にした・【Kiss】シリーズ 『甘々』・8
わたしと彼がどうあったって、食べきれるワケがない。

「まあその…何だ。余ったのはアンタの家の人達にでも食べてもらって」

「勿体無いけど、そうする」

苦笑する彼の前で、わたしはケーキを切る。

そして皿に載せて、皿を持ち、彼に背中から寄りかかった。

「おっおい」

「せっかくのバレンタインだし、食べさせてあげる」

そう言ってフォークで一口分切り取り、彼の顔を見上げながら、口元に運んだ。

「ホレ、あーん」

「ぐっ…! あっあーん」

顔を赤らめながら口を開いたので、ケーキを入れてあげる。

「どう? 甘すぎない? お酒、濃くない?」

「んっ。美味いよ。こんなケーキ、今まで食べたことがない」

嬉しそうに笑いながら、わたしを後ろからぎゅっと抱き締めてくる。

…ああ、本当にわたしは彼に愛されているんだな、と思う。

それは素直に嬉しいんだけど。

「お前も食べてみたら?」

「うん」
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