不良の有岡について。
足に海水が当たる。
「嫌だってば!ねえ、有岡!」
「哀河が嫌がってる姿、レア。」
誰かこの変態を殴ってください。周りを見渡すけど、気まずそうに目をそらされ、挙げ句の果てに女子からの冷たい視線を突きつけられた。
ジャバジャバと膝まで海に浸かる。
近くの岩に手をかけようとしたけど、滑った。
「わ、私カナヅチなの、だから、泳げない!」
そう告白した自分が涙目だと気付いた。
有岡がきょとんと振り向く。
しかも、二の腕を掴まれていた私は、有岡にしがみついていた。