不良の有岡について。

足に海水が当たる。

「嫌だってば!ねえ、有岡!」

「哀河が嫌がってる姿、レア。」

誰かこの変態を殴ってください。周りを見渡すけど、気まずそうに目をそらされ、挙げ句の果てに女子からの冷たい視線を突きつけられた。

ジャバジャバと膝まで海に浸かる。

近くの岩に手をかけようとしたけど、滑った。


「わ、私カナヅチなの、だから、泳げない!」


そう告白した自分が涙目だと気付いた。
有岡がきょとんと振り向く。

しかも、二の腕を掴まれていた私は、有岡にしがみついていた。



< 112 / 256 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop