不良の有岡について。

しがみついて胸より下だったのだから、もっと深くに底があることになる。果たして、私の身長で足りるのか。

低い方では無いけど、有岡みたいに高くもない。

視界は水面に落ちそうになった。


「哀河、!」


ザバッと腋の下から掴まれて、抱き上げられる。私の願う他人ではなく、有岡だったけど。

抱き上げられて、抱き締められた。


「…離してよ。」

「ごめん、からかいすぎた。」

「分かったから離して。もういいから。」

「ごめん。哀河、冷めないで。」


さっきより高い位置。有岡の耳の横に自分の顔があるのが不思議な感覚。



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