不良の有岡について。

その言葉に、次は私がきょとんとする番だった。小首を傾げると有岡がホッとした顔をしたのが分かる。

そして、私を抱いて、陸の方に歩いて行った。


「海行くかって言ったり、俺が良いって言った水着着てきたり。」

私は黙る。

「なんだ結構のってんじゃん、とか思って。女って雰囲気に呑まれやすいから、ベッタリくっついて、キスすればすぐに転がると思ってりもしたんだけど。」

「なんか、かなり軽い考え方。」

「いや、願望。」


自嘲気に言った。


「だから、さっき。哀河が自分から手離した時、真面目に焦った。」



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