不良の有岡について。

言い方がいつもと違って真面目だったから、『真面目に』そう思ったんだと考える。

足が底についても、尚私は有岡に抱きあげられていた。多分、半分くらい浮力は頼っていない。

私が歩きだすと、有岡は普通に手を繋いでくれた。


「…それから、目据わってるし。」

「据わってた?」

「今は直ったけど。」


自分じゃ気づかないものなのかな。

視線を下にすると、水面に映る歪な自分の姿があった。目がどうなっているかどうか、それはよく分からないけど。

有岡の広い背中を見て、急に仕返しをしたくなった。



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