不良の有岡について。
「有岡。」
振り向いた瞬間に、自由な方の手で海水をかけた。
いきなりで驚いたらしく固まった有岡。その目が、段々鋭くなったのに気づかないはずが無い。
「これで、ちゃらってことに、」
「哀河、やっぱり泳ぎ教えて欲しいのか。」
そうかそうか、と目だけ笑っていない笑顔で、私を海の方へ引っ張り出した。鬼を怒らせてしまったらしい。
「ごめん、今度から言ってからするから。」
「いや、言ったからってやって良いもんじゃねーから。」
「有岡。」
振り向かない。さっきので学習してしまったらしい。
「有岡って、私のこと好きなの?」