不良の有岡について。
気をつけろよ、なんかあったらすぐ電話しろ、と言われて頷く。それから家の鍵を渡した。
「シャワーとかなんでも勝手に使って良いから。」
言い残して、早歩きでさっき来た道を戻る。
さっき立っていた人物は、まだ立っていた。
「…何しに、来たんですか?」
声が震えた。同様に、夜の世界も震えた気がした。
その人物が、女が、こっちを見る。
「あのカッコ良い彼、誰なの?あんたの彼?」
「あなたには関係ない。」
「もしかして、」
この人と話していると、いつも不快な気分になる。何故だか、今漸く分かった。