不良の有岡について。
短い単語で聞く。
あの人の目がこっちを向いて、閉じる。
「はぁ?知らないわよお。」
避けて、サンダルを履いて扉の外を見てみる。子供の姿は無かった。
私は嫌な予感がして、部屋からコートを取って靴を履いた。玄関の鍵を閉めて、幼稚園の方向へ足を進めた。
本当に、雪が降りそうな夜だった。
コートを羽織っても寒くて、足を速める。あやふやな記憶だけど、ちゃんと幼稚園に着いた。
小さな靴箱のある入り口に入って、様子を窺う。勝手は分からないけど、取りあえず靴を脱いで教室を覗いてみた。