不良の有岡について。
そこには、あの子供と幼稚園の先生。
「あら、もしかして瞬くんのお姉ちゃんですか?」
「あ…はい、一応。」
先生がホッとしたような顔をしてこっちを見る。同時に子供も一緒に顔を上げた。
その目には涙がいっぱいに溜まっていて、私は困った。
「お家に電話しても繋がらないから、少ししたらお家に行こうかと思ってたの。でも、お引っ越しされたって聞いて。」
「はい…すみません。」
「ずっと待ってたの、来てくれてありがとう。」
この先生が、今の弟のクラス担任の安藤先生。
人懐っこい笑顔を見せた先生は、入り口まで来て手を振ってくれた。