不良の有岡について。
スベテカラマモッテ。
新学期が始まった。
「行ってきまーす。」
「行ってらっしゃい。」
弟がまた早く起きて、幼稚園で一人きりの毎日が始まる。
申し訳無い気持ちを携えて、電車に乗った。
動く風景は、私を眠くさせる。ふわりと、柔軟剤の香りがした。
ハッと気づくと、高校の最寄り駅。
「お、は、よ。」
とん、と肩に手を置かれた。振り返ると、人差し指が頬に、ふに、とささる。
こんなことするのは廿楽だ。
と思いながら振り返って見えたのは顔じゃなかった。私は視線を上に上げる。
「有岡、」