不良の有岡について。
確かにそうだ。
「うん、ごめんね。」
「え、怒ってはないからね?」
「分かってるよ。」
綺麗サッパリ食べ終えた廿楽にも、私もいつかは伝えるつもりだ。家のことも、私の中学の時のことも。
食堂を出ようと立ち上がって出口に向かう。
人と擦れ違って、「あんたさ、」と言われた気がした。
ふと、顔を上げる。
「人の彼氏取って楽しい?」
言われた言葉に顔が強張るのを感じた。この人、由比さんだ。
視界の端で廿楽がこっちを見るのが分かる。
「どうやって有岡を唆したんだか知らないけどねえ…。」
「はあ?あんたなんかに言われたくないんたけど!」
廿楽が私と由比さんの間に入って主張した。にょきっと出て来た廿楽に由比さんも驚いたみたいで目を見開く。