不良の有岡について。











「おい、」


低い声に現実に戻された。

目を瞬かせながら、コンロの前に立つ有岡を見た。

お味噌汁がふきこぼれていたらしく、有岡が止めてくれたらしい。


「あぶねーな。」

「ごめん、ありがとう。」

「熱でもあんのか?」


直に額に手が当てられる。有岡の手の方が暖かい。

反射的に固まると、笑われた。


「何?」

「いや、可愛いなと思って。つーか、体温が低すぎる。」


このチャラ男は…、と後ろに下がろうとする。



< 166 / 256 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop