不良の有岡について。

でも、その前に有岡の手が私の目の前に降りてきた。

視界が真っ暗になって、唇にリップ音が落とされる。
驚いてガタガタっと後ろに下がる。

人の気も知らないで。


「おにーちゃん、サッカーやろう。」

「おー、やろーぜ。」

「ちょっと、夜なんだから、」


外でやってくるから、と弟と有岡は玄関へ出て行った。

いつも通り、有岡は弟を迎えにいってくれて、うちで夕飯食べて終電で帰って行く。
もう殆ど、うちに入り浸っている。

お味噌汁を見た。

豆腐に穴が空いてしまっている。今日のお味噌汁は無しだ。



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