不良の有岡について。

有岡に言われて頷く。

泣いてるって気付かれるのが嫌で、後ろを向いてバスタブについた泡を流す。


「針と糸貸して。もうちょっと見栄え良くするから。」

有岡は、何時もの笑顔で言った。







それはそれは素晴らしい手捌きだった。

弟と私は、顔を並べてそれを見つめる。


「え、有岡って家庭科いくつ?」

「5。」

「満点?」

「満点。」


因みに、私より上。

弟は更に目を輝かせた。

手先が器用な有岡は、それに苦笑いした。

出来上がったそれに、私達姉弟は拍手をする。





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