不良の有岡について。
風邪をひかなそうだけど、一応有岡にもブランケットをかけてテレビの音量を小さくする。音楽番組に出ているバンドが大きく映し出されていた。
私は興味も無くピコピコとリモコンを操作して番組を変える。
「…偉いな、お前。」
聞こえた言葉に、体が固まる。
そのことに気づいてか気づいていないのか、有岡は続けた。
「頑張ってんのな。」
後ろから、頭を撫でられた。
振り向けない。どんな顔をして良いのか分からない。
だから、ありがと、と声が震えないように返した。
それにはきっと有岡は気付いていたと思う。