不良の有岡について。

『あんたさあ、何か思い違いしてない?」

「なにを?」


子機を握る手が汗ばんでいる。


『あたしは確かにあんたの親じゃないけど、あの子の母親はあたしなんだからね。』


痛い所に噛みつかれた。


“冷たい人間ね”


あの言葉が反芻する。手が子機を戻した。あの女の返事き聞かずに。


私の平常を壊すのは、いつも、自分。



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