不良の有岡について。

「難しい顔してる。」


ふふ、と何が楽しいのか廿楽は軽やかに笑う。
この前、由比さんと対峙していた時とは全然違う。

廿楽は数学のプリントとハヤシライスをテーブルの上に置いて、私を見る。


「有岡には言えるけど、あたしには言えないことだったりしてー。」

「…。」

「図星!」


カツンカツンとスプーンを皿にぶつける。行儀が悪い。やっぱりいつもの廿楽だ。

私はカスタードメロンパンを齧って、笑う。

これは、有岡にも言えないことだ。



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