不良の有岡について。
鳴り終わっても自分の席に帰らない有岡を見上げる。
もしかしてノートでも貸してほしいんだろうか。
有岡は、こっちじゃなくて窓の外を見ていた。
それが、なんだか知らない人に見えた。
怖くなって、思わず「有岡、」と呼んでしまった。
視界に私と、こっち側の世界が映る。
「ん?」
優しい声が耳に入る。
一瞬、有岡がどこかに行ってしまう気がした。
有岡まで、そんなの。
「なんでもない。」
だから、嫌だ。
無関心でいたい。