不良の有岡について。

鳴り終わっても自分の席に帰らない有岡を見上げる。
もしかしてノートでも貸してほしいんだろうか。

有岡は、こっちじゃなくて窓の外を見ていた。

それが、なんだか知らない人に見えた。

怖くなって、思わず「有岡、」と呼んでしまった。

視界に私と、こっち側の世界が映る。


「ん?」


優しい声が耳に入る。

一瞬、有岡がどこかに行ってしまう気がした。

有岡まで、そんなの。


「なんでもない。」


だから、嫌だ。

無関心でいたい。



< 178 / 256 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop