不良の有岡について。
フリカエレバキミハイナイ。
弟がキョトンとこっちを向いている。
有岡は顔を隠すように蹲っていた。
私は浅くため息を吐いて、手を振る弟に手を振り返す。
「おにーちゃん、へこんでるんだって。」
「ふうん。」
「だからおねーちゃん、今日はおにーちゃんの好きな夕飯にしようね!」
我ながらなんて心優しい弟。
コートのボタンを掛けてあげて、手を繋ぐ。
「って言われてますけど、おにーさん。」
私も座りこんで弟よりも低い目線になる。有岡が少しこちらを向く。
「…モダン焼き。」
…夕飯のリクエストですか。
モダン焼きってどうやって作るんだろう、と思いながら立ち上がる。弟の手を引いてスーパーへ向かった。
六時までなら豚肉がセールしている。