不良の有岡について。

スーパーからの帰り道、弟は有岡と手を繋いで帰った。

保育士に向いている、とこういう時すごく思う。


「おにーちゃん、みみから血でてるよ?」

「え、あ、ピアス無い…。」


私はその会話を聞いて血の気が引く。それって、もしかして。


「耳裂けたっぽい。」


哀河家の二人は絶句した。






モダン焼きとやらを食べて、いつもの如くテレビを見る二人の背中を見ながら皿を洗う。

お風呂が沸いた音が聞こえた。丁度番組が終わったのと重なったみたいで、弟がいち早く立ち上がる。


「今日はひとりではいる!ゆーとくん、ひとりではいってるんだって!」

「髪の毛洗えないでしょう、おにーちゃんと入ってきなよ。」

「だいじょうぶ!」


何がだ、と問う前にリビングから出て行く足音が聞こえた。




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