不良の有岡について。
ちょっと、と有岡のピアスのついた耳を掴む。
「痛い痛い。」
「ちゃんと、理由教えて。」
「言おうとしたんだけど、その顔されたら抑えらなくなった。」
ゆっくりと後ろ首を離された。私も同じように手を離す。
元から何を抑えようと言うのか。
有岡は掴まれた方の耳たぶを触っている。
そんなに強く掴んだつもりはないけれど、申し訳ない。
「哀河に聞いても教えてくれなさそうだから、狡をした。」
言われた言葉に笑ってしまった。
それは、そうだ。有岡の考えは当たっている。
私は、自分の暗い部分を好んで人に見せるような真似はしない。
私は、有岡みたいに、笑って話したりできない。