不良の有岡について。


柔軟剤の良い香りがする。

急にゴツンと頭に何かが当たって目を開けると、電車の扉。当たったのでは無く、私がぶつけたのだ。

後ろからクスクスと笑う声がして首が熱くなる。…早く駅に着いて欲しい。

祈るように俯いていると、神様は悪戯をせずにちゃんと駅に着かせてくれた。

階段を降りて、改札を抜ける。もう眠気は飛んでいた。

駅を出て幼稚園に向かう。

もう四時。こんなに待たせてしまうなんて、泣いていないだろうか。

早歩きすると、ローファーの靴擦れが痛んだ。



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