不良の有岡について。
安藤先生に心配そうな目を向けられる。大丈夫、私はこれまで一人で決めたことはちゃんと一人でこなせて来れた。
たった一人で生きてきた、みたいな顔をして生きてきた。
「はい。」
言葉を返して、家路につく。
パーカーのポケットに入れていた携帯が震えた。見てみると、有岡からの着信。
その前にもメールが入っていて、もしかしたら廿楽からかもしれない、と勝手に予想してみた。
「もしもし。」
『もしもし、おはようハニー。モーニングコールの時間でっせ。』
「間違い電話か何かですか、切って良いですか。」
『おはようございます。寝坊でもしたのかと思って電話してみました。』
急に改まる言葉遣いに笑うと、おいこら、と低い声が聞こえた。
安藤先生が早速有岡に伝えたのかと思って少し構えていたけれど、そういうわけでは無いらしい。
「寝坊はしてないんだけど、今日は体調悪いから休む。」
『はあ? 今外だろ。サボりかよ。」