不良の有岡について。
そういう選択肢もあるのだ、ということを忘れてはいけないと思った。何よりも、父親方の祖母達がそれを望んでいるのなら、可能性は高い。
私は子供だ。弟だって、子供。
無力さを思い知る。何も出来ない。したいことが出来ないのはもどかしくて、じれったくて、その空白は黒さえも吐き出す。
精肉屋の前を素通りした。コロッケは辞めよう、なんかもっと違うものにしよう、と決めて商店街を出た。
怒田からの着信で、時間を知る。授業が終わる時間。
「もしもし。」
『もしもし、大丈夫か?』
「うん、大丈夫。少し良くなった。」
『お前って風邪とかひかない丈夫なイメージだったから、そんなに悪いんか? 放課後、哀河の家行くかって誘われたんだよ、有岡に。』
それには驚いた。あれから有岡が、自分から怒田を誘うなんて。
私は二人来られても困るけれど。