不良の有岡について。
教室に入ると、特定の子だけに挨拶する。あとは挨拶されたのを返す。私はどっかの誰かみたいに、クラスメートみんなと仲良くしたいわけじゃない。
廿楽も席に着くと、居眠りが始まった。彼女は授業が始まるまで、他者との関わりをシャットアウトするかのようにあの格好をしている。
「おーっす。」
教室の後ろの方から聞こえる声に、扉から入って来た人間が答える。あの派手な髪色は、多分有岡。
なんとなく、で確認して教科書を出す。宿題、やってきたっけ?
ノートをパラパラ捲っていると、視界の端の机の上に手が置かれた。