不良の有岡について。
私の家とは大違いでなんか変な感じがする。
「着替えてくるから、先リビング行ってて。」
「うん。」
手を離して、私は深沢さんが入っていった扉の方へ歩いて入る。
明るくて綺麗なソファーと、食卓テーブルがある。
うちは寛ぐところも食べる所も同じだから、それにどう思っていたのだろう、なんて考えた。
深沢さんはテキパキと台所で動いていて、手伝うといっても邪魔しか出来ない気がして、静かにテーブルの傍で息を潜めた。
有岡は、うちに来ない時は深沢さんの料理を食べているんだ。
私は、有岡のことを殆ど知らないみたい。
いや、ちゃんと知ろうとして無かったみたい。
「哀河、何やってんの?」
「有岡生態調査。」
「なんだそれ。」
訝しげにこちらを見た有岡の後ろで、深沢さんがレタスチャーハンを作って出してくれた。
「もしかして、お電話くれた哀河さんですか? 夏休み中に」
「あ、はい」