不良の有岡について。

「あらあら、ゆっくりして行ってくださいね。」

「はい。ありがとうございます。」

「では私はこれで。」


ぺこりと頭を下げて深沢さんが私と有岡の隣を通り抜けていく。有岡が「お疲れ様です」と声をかけた。

レタスチャーハンの前に座って二人で食べ始める。


「美味しい、これ本当美味しい。」

「深沢さんは俺が生まれてからずっと働いてるから。」

「有岡の舌も肥えてるわけだ。」


レンゲを持ちながら言うと、有岡の難しそうな顔が見えた。
認めたくはないらしい。

でも、今の有岡を作っているのは少なからず、今まで出会ってきた人の影響でもあると思うから。
私は素直に、嬉しいと思う。





「うわ、終電無くなった!」

ハッと目を覚ましたのはソファーの上。時計を見ると日付を越えていて、日本は休日に入っていた。

隣に座っていた有岡は驚いたように私を見ていた。



< 211 / 256 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop