不良の有岡について。
「あらあら、ゆっくりして行ってくださいね。」
「はい。ありがとうございます。」
「では私はこれで。」
ぺこりと頭を下げて深沢さんが私と有岡の隣を通り抜けていく。有岡が「お疲れ様です」と声をかけた。
レタスチャーハンの前に座って二人で食べ始める。
「美味しい、これ本当美味しい。」
「深沢さんは俺が生まれてからずっと働いてるから。」
「有岡の舌も肥えてるわけだ。」
レンゲを持ちながら言うと、有岡の難しそうな顔が見えた。
認めたくはないらしい。
でも、今の有岡を作っているのは少なからず、今まで出会ってきた人の影響でもあると思うから。
私は素直に、嬉しいと思う。
「うわ、終電無くなった!」
ハッと目を覚ましたのはソファーの上。時計を見ると日付を越えていて、日本は休日に入っていた。
隣に座っていた有岡は驚いたように私を見ていた。