不良の有岡について。
アナタニオカエリ。
目を開けたら、有岡はもうベッドに居なかった。
近くの時計を見るといつも私が起きている時間だった。まだ早いのにもう有岡は起きているのかな…と部屋を出てリビングに向かう。
少し寒い。ぺたぺたと響く自分の足音にビクビクしながら、リビングの扉を開けた。
「…有岡?」
きょろきょろと薄暗闇の中を見回す。
夕飯を食べた食卓テーブルにぶつかりながら電気を点けた。
いきなり明るくなったのが眩しくて、目を細めながら有岡の姿を探すと、ソファーからはみ出た足が見えた。
なんでこんな所で寝てるんだろう。私寝相悪かったかな。
「有岡。」
「あ?」
顔の方に立って、呼びかける。
眩しそうに目元に腕を乗せて掠れた声を出した。それからその腕を外して、私の方へ伸ばした。
何か? と思ってその手を見てみたら私の服の裾を掴んで、腹部と服の間に隙間ができた。
「もうちょい前来て」
ばちん、と有岡の顔面を叩いて睨む。