不良の有岡について。

ちょちょちょっと!

「哀河、突っ込み面白い。」

「褒められてる気がしない。」

「別に褒めてるわけじゃねえけど。やばい、ちょっと哀河。」

ぎゅう、と肋骨が折れるかと思うくらいの力で抱きしめられる。流石にボキっと鳴りそうだったので腕を叩く。

それでも緩まない腕に降参をする。

有岡の鎖骨をざらりと舐め返してやった。

びくりと体が反応した有岡がこちらを見て、驚いたような呆れるような顔をした。


「痛いんだけど。殺すつもり?」

「いや。抑えられなくなった欲をぶつけたろうかと。」

「殺意ですか有岡クン。」


ピピピピピピピと目覚まし時計のような音がして、有岡が下に置いてあった時計のボタンを押して止める。もう七時。休日だから、学校に遅れるという心配はないけれど、お腹がすいた。

私はいつも食パンを食べながら洗濯機をまわしている。


「深沢さんは朝来ないの?」




< 220 / 256 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop