不良の有岡について。
「来るのは昼から。俺、朝飯食べねえから。」
「はあ? ちゃんと食べないと倒れるよ。」
「倒れたことない。」
そういう問題じゃない。
私は立ちあがって、台所借りるね、と言った。
冷蔵庫に入ってる物の中から卵とトマトとレタスを出す。フライパンに油を敷いて、簡単にスクランブルエッグを作って、食パンを焼いた。
焼いた食パンにバターを塗って一枚を口に咥えた。
「はい、私洗濯機回してくるから。」
「おお、あ、はい。」
フォークを咥えたまま頷いた有岡。
有岡家の洗濯機は最新式で、キラキラしていた。使う回数が少ないのか本当に新品同然だった。
ボタンひとつ押して私の仕事は終わってしまったらしい。
「良いなあ、弟にも見せてあげたい。」
「何を。」
「洗濯機。」