不良の有岡について。
お風呂に入ると言った二人を見送った後に、シャンプーが無かったんだ、と脱衣所に入る。
半裸の有岡が、バンザイした弟のトレーナーを引っ張った姿で固まった。
「え、なに?」
「シャンプーこれ、新しいの。」
「あ、ありがとう。」
「おにーちゃん、はやくとってよー。」
何をそんなに難しい顔をしているのか困惑したけれど、何を言われるのかも怖いのでさっさと出よう。
そんなことを思っていれば、パッと手首を掴まれた。
それからぎゅっと抱きしめられた。
筋肉質な身体に私の身体がくっつく。すぐそこに弟が居るのに。
ざらりと耳を舐められて、パッと離れる。私だけがついていけない速さ。
「男が脱いでる時に容易に入ってくんなって言っただろ。」
な、弟? と同意を弟に求める。「ようい?」とトレーナーをスポっと抜かれた顔をきょとんとさせる。
すみませんね覚えが悪くて!
有岡の舌の感覚が残っている耳を覆って脱衣所のドアを乱暴に閉めた。